【小説】新世界より 貴志祐介:和風近未来SFの超大作

  • 小説の概要  

本日紹介するのは貴志祐介のSF超大作、新世界よりです。この小説はかなりの超大作であり上中下巻の1000ページもの圧倒的なボリュームを誇ります。舞台は今から1000年後の日本、「呪力」と呼ばれる超能力を手に入れた人類たちは、その能力を生かした新しい生活様式の中で平和な日常を送っていた。この物語ではそんな近未来の日本にある神栖66町と呼ばれる3000人程度の人口の小さな町に住む一人の少女、渡辺 早季の独白から始まる…

  • 退屈極まりない序盤

いきなりこんなことを書くのは何ですが、この小説は序盤が物凄く退屈です。最初に書いた「呪力」もそうなのですが、それ以外にも「ミノシロモドキ」「バケネズミ」「ダマシネコ」「不浄猫」などのように現実の我々とは全く馴染みのない用語が当たり前のように出てきて、全く世界観が掴めませんでした。特に序盤のある学校行事は読んでいて苦痛なほどに面白くありませんでした。しかし中盤から終盤にかけて、これらの用語や出来事が極めて重大な意味を持っていたことが明らかになり、あっと驚かされることになります。特に序盤に出ていた主人公の友人の少女が、ある場面から忽然と姿を消していたことに気づかされた(退屈すぎて正直言って覚えていなかった【笑】)ときにはアッとなりました。

  • 中盤から明かされる驚愕の世界観 

そんな退屈な序盤ですが、主人公たちが学校行事でサマーキャンプに行き、そこで移動型の図書館である「ミノシロモドキ」に出会うことから、物語は急変していきます。僕はこのあたりからようやく世界観をつかむことが出来るようになり、内容に集中することができるようになりました。そしてもう一つ重要なキャラクターであるのがバケネズミである奇狼丸とスクィーラ(野狐丸)です。バケネズミとは醜い姿をしたハタネズミが進化した生き物であり、呪力を使う人間達に従属している生物です。 奇狼丸 は人間よりも大きな体格を持った威風堂々とした立派な将軍であり、スクィーラは小柄で卑屈な、しかし狡猾な一面を持った宰相です。この二人は共に人間の言葉を話すことが出来るのですが、個人的に僕はこの二人こそが本作の真の主人公ではないかと思うほど、対照的で印象的なキャラクターでした。僕は二人とも大好きです。

  • 畳みかけるような怒涛の終盤

本作は主人公達が12歳、14歳、そして26歳のときが舞台となりますが、26歳の大人になってからはまさに畳みかけるような大事件がスクィーラによって起こされ、ページをめくるのが止められませんでした。さらに一番最後にスクィーラが大勢の人間達に対するある叫びから、驚愕の真実が明らかになりますが、それは是非皆さんで確かめてください。

  • 総評

退屈な序盤から、中盤にかけての怒涛の巻き返しには感服しましたが、やはり序盤の退屈さを巡って賛否がわかれる作品になると思います。僕は楽しめましたが、人によっては序盤からずっと世界観をつかむことが出来ず、よくわからないまま終わってしまうことも考えられます。それでも伏線の回収の嵐から、 奇狼丸 とスクィーラといった魅力的なキャラクターが登場する本作は、SF好きなら一見の価値があると思います。

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