【小説】クリムゾンの迷宮 貴志祐介:スリリングなデスゲームの傑作

  • 小説の概要

今回紹介するのはホラー小説家として定評のある貴志祐介のクリムゾンの迷宮です。会社をクビにされ、妻にも出て行かれた中年のホームレス、藤木はふと目を覚ますと全く見慣れない風景の土地に居た。まるで火星のような赤い土の谷底の中に…という感じで始まり、その後藤木は自分と同じ境遇に置かれていたらしい藍という女性と出会い、2人が持っていた携帯型のゲーム機から、これがどうやらだれかが仕組んだゲームであるらしいということがわかる…

  • デスゲームものとしての設定の堅実さ

本作はバトルロワイアルなどのようなデスゲーム系のジャンルに分類される作品です。最初にゲーム機を持たされて、全員が集まらなくては全てのルールが確認できないという点もゲーム性を高める為の演出として定番中の定番ですね。さらに全員が集合してから、東西南北に隠されているアイテムを回収してくることになるのですが、このときに僕が最も気に入っているのは全員が食指が動かなかった北ルートの情報が最も重要なアイテムであり、その後のゲームの展開の殆どが最初の選択肢で決まってしまうという点ですね。

  • 中盤で明かされる恐ろしい秘密

序盤のルートで西ルートの武器と、南ルートの食料を選んだ人間は切迫した緊張感からか、次第に狂暴化していきます。藤木と藍は東ルートの道具を選んだ人間と協力しながらも、他のルートの人間の攻撃を躱していくことになりますが、このあたりの緊張感は読んでいてかなりハラハラしました。特に中盤で明かされる南ルートに仕掛けられていたあるトラップの存在は読んでいておぞましいものでした。

  • やや肩透かしを食らう終わり方

中盤までは文句なしの面白さでしたが、しかし終盤の終わり方については正直言って「あれ?これで終わり?」と首を傾げてしまうものでした。個人的にヒロインである藍の伏線についてはもう少し丁寧に回収してほしかったという気持ちです。

  • 総評

やや終わり方に不満がありながらも、デスゲーム系の作品に求められる要素を高いレベルでしっかりとまとめてある傑作であることに違いはありません。もしも興味を持った方は一度読んでみてはどうでしょうか?

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